日本信用情報サービス株式会社
情報分析部
関口美由紀
新年、あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
年の始まりにあたり、あらためて反社チェック業界の現状を見つめ直したいと思います。
「AIは、ネット上のデータを全て拾う」と思っていませんか?

この問いを正面から検証しないまま、業界はAIと手軽さを競っていることに、日本信用情報サービスは危機感を感じています。
反社チェック・コンプライアンスチェックサービスを扱う各社は、AIによるスコアリングやノイズ除去、ワークフロー自動化を前面に打ち出し、「早く」「楽に」「それらしく」審査が回る仕組みを価値として提示してきました。
法人向け企業データベースを保有するユーソナーや、リスク情報・コンプライアンスチェックサービスを掲げる日経リスク&コンプライアンスでは、登記情報、企業情報、与信管理を組み合わせたワンストップ化が進んでいます。
その結果、反社チェックは独立した判断行為として扱われるのではなく、取引先管理や情報確認の流れに組み込まれた業務効率向上のための機能の一つとして位置づけられる傾向が強まっています。反社チェックが、個別に慎重な精査を要する行為から、業務プロセスの中で付随的に確認される項目へと変化しつつある状況が見て取れます。
AIは絶対に拾えない「地方新聞」「警察関連」の情報
一方で、決定的に触れられていない領域があります。
AIが拾えない情報です。
例えば、地方新聞に掲載されている情報。
反社チェック・コンプライアンスチェックの実務では、重要情報の約80%が地方紙に載ると言われています。
しかし多くの地方新聞はデータベース化もされず、検索エンジンにも十分に反映されないままです。
警察関連情報も同様です。公開情報であっても、ネット上に整理された形で残るものばかりではありません。
さらに、過去に掲載されたものの、後に消えた、あるいは消された情報。
ネットに残っていない情報を、AIが拾い上げることは構造上できません。
どれだけAIが進化しても、元となるデータに存在しない情報は、拾いようがない。
ここが「AIはネット上のデータを全て拾う」という言葉の限界です。
騙されないでください。AIにもできること・できないことがあります。
反社チェック・コンプライアンスチェックで使われる「AIによる」という言葉は、万能性を示すものではありません。
AIが扱えるのは、インターネット上に存在し、取得可能な情報に限られます。
ネット上に掲載されていない情報、掲載後に削除された情報、そもそも公開されない情報は、最初から対象外になります。
この点で特に見落とされやすいのが新聞情報です。
紙媒体のみで流通した記事、地域限定で配布された地方紙の記事、デジタル化されていない過去の紙面情報は、検索エンジンやAIの収集網にかかりません。
地方新聞の紙面情報や地域でのみ共有されてきた過去記事は、今も紙の中に残り続けています。
AIは情報を生み出す存在ではなく、与えられたデータを整理する仕組みです。
そのため、可視化された情報には強くても、新聞が記録してきた地域の事実や過去の経緯までは掬い取れません。
この構造を理解することが、反社チェック・コンプライアンスチェックを考える際の出発点になります。
日本信用情報サービスだけが持っている 3つの信用情報
もう一つの見落とされがちな問題が、同一性(同姓同名)チェックです。
AIが拾った名前や記事が、本当にその人物なのか。
同姓同名、表記揺れ、年齢や所在地の違い。
ここを人の目で精査しなければ、絞り込みは成り立たず、誤った人物をリスクと判断する危険が残ります。
拾えたかどうか以前に、誰の情報なのかを見極める工程が欠かせません。
日本信用情報サービスが積み上げてきたのは、こうした領域です。
地方新聞を含む独自の収集網。
警察関連情報を含む実務データ。
同姓同名、表記揺れ、年齢や所在地の違いを見抜く、同一性チェック。
消された情報も含め、人の手で精査し続けてきた蓄積。
そして、同一性チェックを前提としたデータ入力。
JCIS WEB DB Ver.3には、AIでは拾えない情報が組み込まれ、反社チェック・コンプライアンスチェックを検索ではなく、企業防衛の情報基盤として支える設計が貫かれています。
企業防衛とは 会社を守るのは「手軽さ」ではなく「信用性」
それでもなお、この価値が市場に十分浸透していない理由は明確です。
データベースの力は、導入前には見えにくく、事故が起きた後に初めて実感される構造にあるからです。
件数やスピード、AIといった分かりやすい指標では測れないがゆえに、比較の土俵に乗りにくい。
その結果、「手軽さ」が「信用性」より前に出てしまう現実が続いています。
2026年の課題は、この構造をどう超えるかに尽きます。
大事なのは手軽さではなく信用性。
AIが拾えない反社チェック・コンプライアンスチェック情報が、実務ではどれほどの意味を持つのか。
他社ツールでは見逃されたが、日本信用情報サービスでは拾えた事例。
地方紙情報や警察関連情報が、どのように企業を守ってきたのか。
こうした事実を体系化し、事故が起きる前に疑似体験として示すことが求められます。
2026年 日本信用情報サービス『JCIS WEB DB Ver.3』の覚悟
AIと効率が前に出る時代だからこそ、最後に企業を守るのは、どんな情報を、誰が、どんな覚悟で積み上げてきたのかという基盤です。
2026年は、日本信用情報サービスのJCIS WEB DB Ver.3が持つこの意味を、市場の評価軸そのものとして提示できるかどうかが問われる一年になります。