日本信用情報サービス株式会社
情報分析部
関口美由紀


目次
情報を再販するだけの「反社チェック業者」
本来、信頼性の高い反社チェック・コンプライアンスチェックには、人の目による判断や、事実関係を裏付ける作業が不可欠です。記事の内容や背景、関係性の継続性などを読み解く力がなければ、調査とは呼べません。
ところが現実には、外部の契約データベースを再構成するだけで、あたかも独自に調査を行ったかのように装う事業者も存在します。情報の出所や精度に対する責任を持たず、断片的な記事情報を「調査済み」と表示するだけで、反社チェック・コンプライアンスチェックの本質を果たしていると言えるのでしょうか。

多くの反社チェック業者が利用しているのは、日経テレコンに代表される新聞記事検索データベースです。このデータベースには、全国紙に掲載された事件記事が数多く収録されています。しかし、地方紙の収録は限定的で、記事も個人名が伏字になっていたり、簡素化されていたりと、内容が不十分な場合が少なくありません。そのため、反社チェック・コンプライアンスチェックに必要な精度や網羅性を満たしているとは言えず、重要なリスク情報を適切に把握できているのか疑念が残ります。
日経テレコンなどの新聞記事検索データの“信用”を借り、あたかも自社の調査結果であるかのように見せかけながら、実際には裏取りの手間も責任も負っていない。そうした行為は、企業に誤った安心感を与えるだけでなく、調査という行為そのものへの信頼をも損ねることになります。
見えている情報を並べることと、信頼に足る調査を行うことは、まったくの別物です。この違いを見極めなければ、企業は“情報の再販”を調査だと信じ込み、重大なリスクを見逃すことにもつながりかねません。
信頼される反社チェックに必要な条件
形式だけでは企業は守れません。 画面上の便利さや検索速度に惑わされることなく、実態をともなった反社チェック・コンプライアンスチェックを見極めるには、明確な基準が必要です。
本当に信頼に足るチェックには、以下のような条件が求められます。
・地方紙を含む全国紙の紙面情報を、原本レベルで収集・検索できる仕組みが整っていること
・記事検索にとどまらず、暴力団、フロント企業、共生者などの情報を蓄積・分析していること
・官民が一体となり、反社リスク情報を適法に共有・運用できる体制が整っていること
・専門の調査員が人の目でリスクを判断し、内容を裏付ける作業が組み込まれていること
こうした条件が揃って初めて、「実務で使える」「信頼して委ねられる」水準の反社チェックといえます。見える情報の多さではなく、見えにくい情報への対応力こそが、企業を守る分水嶺となります。
なお、ここで挙げた4つの条件は、日本信用情報サービスが提供する反社チェック・コンプライアンスチェックにおいて、すでに実務として組み込まれています。形式や見かけではなく、実態として企業を守る仕組みが構築されているかどうか。この点こそが、見極めるべき基準になります。
地方紙の活用を妨げる制度的な障壁
反社チェック・コンプライアンスチェックにおいて地方紙が重要であるにもかかわらず、その活用が進まない背景には、情報運用の現場とは別の制度的な問題が横たわっています。
地方紙の電子化は全国的に見てもばらつきがあり、配信インフラやデータベースとの連携体制が整っていない地域も少なくありません。記事配信契約の手続きが煩雑であったり、紙面PDFの商用利用が認められていなかったりと、運用面のハードルは依然として高い状況です。
さらに、著作権の扱いや記事使用料の取り決め、記事提供会社との契約交渉といった調整事項も多く、たとえ紙面上に重要な情報が掲載されていても、それがチェックツールに反映されない事態が頻発しています。

結果として、地方紙が報じた事実が検索データベースに取り込まれないまま“空白”となり、重要な兆候が見えないまま埋もれてしまいます。
「掲載されているのに、見えていない」。こうした情報の盲点が制度的に温存されていることは、リスク管理上、見過ごすべきではありません。
反社チェック・コンプライアンスチェックとは、「見えない情報」に向き合う覚悟
企業を本当に守る反社チェック・コンプライアンスチェックとは、単に「情報を検索する仕組み」を導入することではありません。重要なのは、そこに蓄積された情報の質、そしてそれを正しく読み取り、意味を見極める人の目があるかどうかです。
「AIが使われているから安心」「地方紙にも対応していると書かれているから大丈夫」。こうした表面的な言葉に頼っていては、リスクの本質を見落とします。むしろ、そうした“安心風”のフレーズこそが、最も疑うべき対象なのです。
データ入力部門の大幅な強化を実施!!

日本信用情報サービスは、2025年秋、さらなる体制拡充に向けて動き出します。
データ入力部門を大幅に強化し、より正確で、より深い調査情報を提供できる体制を整備します。
検索だけでは届かない情報を、確実に読み解けるツールへと進化させていきます。
日本信用情報サービスのJCIS WEB DBⓇには、独自に収集した新聞情報が蓄積されています。
全国紙5紙、ブロック紙7紙、地方紙43紙の合計55紙を対象に、反社会的勢力やコンプライアンス違反に関する情報を収集しています。
作業には80名体制の専任スタッフが日々対応し、日本全国で発信される記事を精査・入力する独自の運用を行っています。
これだけの規模で新聞情報を収集し、反社情報の更新・分析を継続することは、莫大な予算を要します。
しかし、ここまでのデータ入力体制が構築されていなければ、「反社チェック・コンプライアンスチェック」サービスを提供しているとは言えません。
このような体制を整えているのは、日本信用情報サービスのほか、国内では例がありません。
本物の「反社チェック・コンプライアンスチェック」とは、見えている情報を並べることではなく、信頼に足る調査を行うことです。
画面上の便利さや検索速度に惑わされることなく、実態をともなった反社チェック・コンプライアンスチェックを選び取ってください。

