日本データ分析センター

コラム

Column

ミナミの地面師 現在も続く不動産詐欺の脅威 ①

2026年7月8日

日本信用情報サービス株式会社
情報分析部
関口美由紀

Netflixで話題となった「地面師たち」。大胆な偽装工作や巨額マネー、巧妙な心理戦が描かれ、大きな反響を呼びました。
積水ハウス地面師事件をモチーフにしたこの作品を通じて、「地面師」という犯罪を改めて強く印象づけられた方も多かったのではないでしょうか。

特に不動産業界では、「本人確認は本当に十分なのか」「大型取引に潜むリスクを見落としていないか」といった危機感を抱いた関係者も多く、実際、ドラマ配信後の日本信用情報サービスには、不動産関係者から多数の問い合わせが寄せられました。

『JCIS WEB DBⓇ Ver.3』には主犯格の情報も登録されていたため、大型不動産取引前における反社チェック・コンプライアンスチェックの重要性を、改めて認識する契機になったと言えます。


『JCIS WEB DBⓇ Ver.3』には主犯格の情報も登録されていたため、大型不動産取引前における反社チェック・コンプライアンスチェックの重要性を、改めて認識する契機になったと言えます。

あれだけ大きな話題となった地面師事件。「もう同じ手口には騙されないだろう」と思われがちですが、現在も地面師による不動産詐欺の被害は起きています。

2025年、大阪・ミナミで約14億円規模の地面師詐欺事件が発生し、主犯となる2名が逮捕されました。不動産所有者になりすまし、不動産会社側を信用させて巨額資金を騙し取る手口は、2017年の積水ハウス地面師事件から本質的に大きく変わっていません。

地面師たちは“過去の犯罪者”ではなく、現在も実社会で活動を続けている存在

つまり、地面師たちは“過去の犯罪者”ではなく、現在も実社会で活動を続けている存在なのです。

今回の大阪・ミナミの地面師詐欺事件で特徴的だったのは、「本名で動いていた」という点でした。

一般的に、詐欺グループや反社会的勢力と聞くと、「偽名」「架空人物」「身元不明」といったイメージを抱く人は少なくありません。しかし主犯格たちは本名を名乗り、通常の不動産取引の場に現れていました。

報道によれば、売買契約の席には、司法書士など不動産取引の専門家も同席していましたが、それでも偽装は見抜かれなかったとされています。

地面師詐欺は、典型的な「劇場型詐欺」です。地主役、仲介業者役、資産管理会社役など、それぞれが役割を分担しながら、商談の場に“本物らしい空気”を作り上げていく。警察官や弁護士、役所職員を騙る振り込め詐欺とも、構造は非常によく似ています。

地面師詐欺は、典型的な「劇場型詐欺」です。地主役、仲介業者役、資産管理会社役など、それぞれが役割を分担しながら、商談の場に“本物らしい空気”を作り上げていく。警察官や弁護士、役所職員を騙る振り込め詐欺とも、構造は非常によく似ています。

本来であれば、どこかで違和感が生まれても不思議ではありません。しかし、本名や実在企業名が使われ、通常の取引と変わらない形で商談が進むことで、相手の警戒心は徐々に薄れていきます。

なぜ、プロですら違和感を見過ごしてしまうのか。

次回は、地面師事件に共通する「9割5分の真実」という特徴について掘り下げます。