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コラム

Column

商品が届くから気づけない カニカニ詐欺 前編

2026年9月17日

日本信用情報サービス株式会社
情報分析部
関口美由紀

日本信用情報サービス

北海道のカニやホタテ、サケなどの海産物は、産地を聞くだけでも魅力を感じるものです。

「北海道から直接届けます」
「物産展で余った商品を安く販売します」

電話でそう勧められれば、お得な機会だと思う人もいるでしょう。ましてや、「以前もご注文いただいた方への特別なご案内です」と言われれば、自分にも過去の購入歴があったと思い、警戒せずに話を聞いてしまうかもしれません。

海産物への期待と、過去に取引があったと思わせる虚偽の説明を利用して購入へ誘導する手口が「カニカニ詐欺」です。

代金を支払ったのに商品が届かなければ詐欺を疑いますが、カニカニ詐欺では海産物が送られてきます。価格に見合わない内容であっても、実際に海産物が届いたという事実が、「割高な買い物をしただけ」と思わせ、詐欺被害への気づきを遅らせるのです。

2026年7月から8月にかけて、札幌市を拠点に海産物を販売していた男ら7人が、詐欺などの疑いで逮捕・送検されました。

報道によると、男らは「北の都」や「北勝水産」などの販売業者名を使い、電話をかけた相手に「以前、注文したことがありますよね」「前回の注文時に、今回の分も注文を受けています」などと虚偽の説明をした疑いが持たれています。

電話勧誘販売で、虚偽説明や強引な勧誘が報告されています。 報告例が多いのは、健康食品やサプリメント 「以前注文を受けた商品を送る」 「注文時の録音が残っている」 「すでに製造したのでキャンセルできない」 「受け取らなければ損害賠償を請求する」 すべてウソ・詐欺です

販売されていたのは、ズワイガニ、タラの西京漬け、イカ、サケ、ホッケ、松前漬け、ホタテの貝柱などを組み合わせた海産物セットでした。確認されている販売価格は1万5,000円から10万円です。北海道警は、押収されたセットの価値を1万円程度とみており、札幌市内の鮮魚店からは、一部商品の品質低下も指摘されました。
全国で約4万2,000人が購入し、売上額は約9億1,000万円に達したと報じられています。

販売業者はどのような説明で警戒心を弱め、購入へと誘導したのでしょうか。

カニカニ詐欺は、海産物の魅力だけで購入を勧めるわけではありません。

「以前も注文していますよね?」
「前回の注文時に、今回の分も受けていますよ」
「北海道の物産展を開催して、余ってしまいました」
「いつもご愛用のお客様だけに、通常3万円の商品を、本日限りの特別価格1万円で販売しています」

初めて電話をかけた相手に、過去にも取引があったように思わせる設定。

身に覚えがなくても、「前に買ったことがあるから、特別に連絡をもらったのか」と考えれば、強く否定しにくくなります。

「以前も注文していますよね?」 「前回の注文時に、今回の分も受けていますよ」 「物産展で余ってしまいました」 「いつもご愛用のお客様だけに、本日限りの特別価格!」 と煽る悪い人

販売業者の説明に誤りがあると考える前に、自分の記憶が間違っていると思わせ、購入を断れば「無理なキャンセルをしている」と感じさせる手口です。

電話勧誘では、最初に高い価格を示し、断られるたびに値下げする方法も使われます。
報道された事例では、販売業者が海産物セットを3万円で勧め、購入を断られると1万5,000円まで値下げしていました。基準として示された3万円が適正価格とは限りません。初めに高い価格を提示することで、値下げ後の金額を割安に見せることができます。

相手が大きく譲歩したように振る舞えば、「ここまで安くしてもらったのだから断りにくい」という感情も生まれます。値下げはサービスではなく、購入を断る側に罪悪感を抱かせるための仕掛けなのです。

受け取った発泡スチロールの中に、細い魚、古いホタテ、色の変わったお刺身、などおいしそうじゃない海産物。がっかりするふくろうちゃん、てに納品書で15000円の文字

今回の事件を、海産物の販売方法だけの問題として捉えることはできません。過去の取引を装い、購入者に自分の記憶を疑わせ、値下げによって断りにくい状況をつくる。
この手口は、商品や販売業者名を変えながら、繰り返し使われる可能性があります。

注目すべきなのは、どのような屋号を使っているかだけでなく、誰が販売に関わっているかです。

詐欺などの疑いで逮捕された人物は、日本信用情報サービスの反社チェック・コンプライアンスチェックデータベース「JCIS WEB DBⓇ Ver.3」に収録されていました。

JCIS WEB DB Ver.3
実名登録
反社チェック・コンプライアンスチェック
実際の画面

取引前に屋号や会社名だけでなく、運営に関わる人物まで確認することが、表面上の情報からは見えないリスクを捉える手掛かりになります。

日本信用情報サービス